半局所単連結空間
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半局所単連結空間
半局所単連結(はんきょくしょたんれんけつ、semi-locally simply connected)とは、局所単連結よりも真に弱い位相空間の性質で、「局所的な穴が大域的に見れば穴でなくなる位相空間」とも解釈できる。しばしば技術的な問題のためにこの条件が課されることがある。例えば有名な例として、位相空間に普遍被覆が存在することと、連結かつ局所弧状連結かつ半局所単連結であることが同値であることなどが知られている。
定義
位相空間 $X$ が半局所単連結(semi-locally simply connected)であるとは、任意の点 $x\in X$ に対してある近傍 $x\in U \subset X$ と包含写像 $i\colon U\to X$ が存在し、この連続写像により誘導される基本群の準同型によって $i_{*}(\pi_1(U,x))\subset \pi_1(X,x)$ が自明群になることを言う。またこれは基本群を使わず次のように直接定義することもできる。
- 任意の $U$ 内の曲線 $\gamma\colon [0,1]\to U$ であって $\gamma(0)=\gamma(1)$ を満たすとき $\gamma $ が$X$ において定値写像とホモトピック(これは $U$ 内のループが $U$ そのものの中で一点にできなくとも $X$ の中においては一点にできるということを指している。)
定義から明らかに単連結 $\Longrightarrow$ 半局所単連結である。また $U$ として単連結な近傍が取れれば半局所単連結であるから 局所単連結 $\Longrightarrow$ 半局所単連結であることがすぐわかる。
具体例
位相的性質
遺伝性
- 半局所単連結性は部分空間に遺伝しない。
- 部分空間の半局所単連結性は全空間の半局所単連結性を誘導しない。
- 半局所単連結な部分空間同士の和集合は半局所単連結とは限らない。
- 半局所単連結な部分空間同士の共通部分は半局所単連結であるとは限らない。
- 半局所単連結空間の連続写像による像は半局所単連結であるとは限らない。
- 半局所単連結空間の連続写像による逆像は半局所単連結とは限らない。
- 2つの半局所単連結空間の直和は再び半局所単連結である。
- 2つの半局所単連結空間の直積は再び半局所単連結である。
他の位相的性質との関連
- 可縮 $\Longrightarrow$ 単連結 $\Longrightarrow$ 半局所単連結
- 局所可縮 $\Longrightarrow$ 局所単連結 $\Longrightarrow$ 半局所単連結