単体複体の二元体係数ホモロジー1:単体複体

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この章では、本テキストを通して扱う幾何的対象である単体複体について、諸々の定義を行う。 単体複体とは、単体と呼ばれる図形のピースを"きっちり"と貼り合わせて作られる組合せ的な図形である。 なお、この章の解説は幾何的なものに留め、代数的な事柄は次章以降に回す。

入門テキスト「単体複体の二元体係数ホモロジー」

単体

単体複体の定義を述べるために、単体の定義から始める。単体とは、線分、三角形、四面体といった図形のピースのようなものを高次元に一般化した概念である。

定義1.1(一般の位置)

$q \ge 0$ を整数とする。 Euclid空間 $\mathbb{R}^N$ 内の $q + 1$ 個の点 $a_0, a_1, a_2, \dots, a_q \in \mathbb{R}^N$ が一般の位置(general position)にあるとは、ベクトル $\overrightarrow{a_0 a_1}, \overrightarrow{a_0 a_2}, \dots \overrightarrow{a_0 a_q}$ が線型独立であることをいう。

定義1.2(単体)

$q \ge 0$ を整数とする。一般の位置にある $q + 1$ 個の点 $a_0, a_1, \dots, a_q \in \mathbb{R}^N$ に対して、それらを頂点とする$q$ 単体($q$ -simplex) $|a_0 a_1 \cdots a_q|$ とは、$a_0, a_1, \dots, a_q$ の成す凸包のことである。 すなわち、$$|a_0 a_1 \cdots a_q| = \{\lambda_0 a_0 + \lambda_1 a_1 + \dots + \lambda_q a_q \in \mathbb{R}^N \ | \ \lambda_0 + \lambda_1 + \cdots + \lambda_q = 1, \lambda_i \ge 0\}$$ である。

以降、$q$ 単体たちを総称して単体(simplex)ということにする。 なお、便宜上、空集合を $-1$ 単体ということにする[1]

例1.3(単体)

  • $1$ 点 $a_0$ を頂点とする $0$ 単体は、一点集合 $\{a_0\}$ である。
  • $2$ 点 $a_0, a_1$ を頂点とする $1$ 単体は、$a_0, a_1$ を端点とする線分である。
  • $3$ 点 $a_0, a_1, a_2$ を頂点とする $2$ 単体は、$a_0, a_1, a_2$ を頂点とする三角形である。
  • $4$ 点 $a_0, a_1, a_2, a_3$ を頂点とする $3$ 単体は、$a_0, a_1, a_2, a_3$ を頂点とする四面体(三角錐)である。

注意1.4

単体 $\sigma$ が $q$ 単体であるとき、$q$ を $\sigma$ の次元(dimension)といい、 $\dim \sigma$ と書く。

単体の頂点たちが一般の位置にあることから、一つの単体に対して頂点集合は一意に定まる。したがって、単体の次元も一意に定まる。 しかし、頂点の並び順は一意に定まらないことに注意する。たとえば

  • $|a_0 a_1|$ が単体のとき $|a_0 a_1| = |a_1 a_0|$ であるし、
  • $|a_0 a_1 a_2|$ が単体のとき $|a_0 a_1 a_2| = |a_2 a_1 a_0| = |a_0 a_2 a_1|$ である。

定義1.5(面)

$q$ 単体 $\sigma = |a_0 a_1 \cdots a_q|$ に対して、$k + 1$ 個の頂点 $a_{i_0}, a_{i_1}, \cdots, a_{i_k}$ を選び取ることで、$\sigma$ の部分集合であるような $k$ 単体 $|a_{i_0} a_{i_1} \cdots a_{i_k}|$ が得られる。これを $\sigma$ の$k$ 面($k$-face)という。 $1$ 面のことを辺(edge)、$q - 1$ 面のことを切子面(facet)ともいう。

以降、$\sigma$ の $k$ 面たちを総称して $\sigma$ の面(face)ということにする。 なお、便宜上、空集合を任意の単体の $-1$ 面ということにする[2]

例1.6(面)

  • $q$ 単体 $\sigma$ の $q$ 面は、$\sigma$ そのものである。
  • $q$ 単体 $\sigma$ の $0$ 面は、$\sigma$ の或る頂点である。
  • $2$ 単体の $1$ 面は、三角形の或る辺である。
  • $3$ 単体の $2$ 面は、四面体(三角錐)の或る面である。

演習問題1.7

(1) $q$ 単体の $k$ 面は全部で何個あるか、数え上げよ。
(2) $4$ 単体 $|a_0 a_1 a_2 a_3 a_4|$ の $2$ 面をすべて書いてみよ。
Proof.

(1) $q$ 単体の $k$ 面を指定することは、 $q + 1$ 個ある頂点から $k + 1$ 個の頂点を重複なく選び取ることと等価である。よって、求める個数は $\binom{q + 1}{k + 1}$ 個である。(特に、$q$ 単体が持つ $k$ 面の個数と $q - k - 1$ 面の個数は等しいことが分かる。)
(2) $|a_0 a_1 a_2|, |a_0 a_1 a_3|, |a_0 a_1 a_4|, |a_0 a_2 a_3|, |a_0 a_2 a_4|, |a_0 a_3 a_4|, |a_1 a_2 a_3|, |a_1 a_2 a_4|, |a_1 a_3 a_4|, |a_2 a_3 a_4|$ の計 $10$ 個。

単体複体

複数の単体を"きっちり"と貼り合わせることで、単体複体という幾何的対象を組み上げる。 その数学的な定義は至って組合せ的である。

定義1.8(単体複体)

Euclid空間 $\mathbb{R}^N$ の単体を要素に持つ有限集合 $K$ が以下の二条件を充たすとき、$K$ を単体複体(simplicial complex)という:

(1) 単体 $\sigma$ が $K$ に属するならば、そのすべての面が $K$ に属する;
(2) 単体 $\sigma, \tau$ が共に $K$ に属するならば、$\sigma \cap \tau$ もまた単体であって、さらに $\sigma$ と $\tau$ 両方の面である。

単体複体 $K$ の要素となっている $0$ 単体を $K$ の頂点(vertex)といい、それら全体の集合を $K$ の頂点集合という。

単体複体 $K$ の次元(dimension) $\dim K$ を、$\max \{\dim \sigma \ | \ \sigma \in K\}$ で定める。

注意1.9

  • ここでは空集合 $\varnothing$ を任意の単体の面( $-1$ 面)とする立場なので、つねに $\varnothing \in K$ である。
  • 単体複体はあくまで単体を要素に持つ集合なので、$\mathbb{R}^N$ の部分集合ではない。

定義1.10(多面体)

$\mathbb{R}^N$ の単体を要素に持つ有限集合 $K$ (たとえば単体複体)に対して、それが持つ単体すべての合併 $$|K| = \bigcup_{\sigma \in K} \sigma \subset \mathbb{R}^N$$ を $K$ の多面体(polyhedron)あるいは幾何的実現(geometric realization)という。

補足1.11

単体複体を扱う際に思い描く図形は、単体たちを合併していくことで出来上がる"角ばった"図形、つまり多面体である。 その多面体を与える単体複体は、多面体がどのような単体を部分図形として持つかというデータを選び、保管していると言える。

そういった視点に立つと、単体複体の条件(1)は「或る部分図形がデータにあるなら、それが持つ部分図形もまたデータにあるべき」というもの、条件(2)は「或る二つの部分図形がデータにあるなら、その交わりもまたデータにあり、かつ"きっちり"とした交わり方であるべき」というものに見える。 これらの条件が技術的にどのような箇所で働くかは、今後の章で追って解説する。以下の例1.12.6も参照されたい。

例1.12(単体複体とその多面体)

単体複体とその多面体について、幾つかの例を挙げる。どの例においても絵を描いてみるとよい。 また、今後の章でも、様々な単体複体の例を必要に応じて紹介していく。

本節は分量が多くなってしまったので、それぞれの例を解説の中に折り畳んである。適宜、右下の[展開する]を押して読んでもらいたい。

例1.12.1(単体)

解説

$\sigma$ を $\mathbb{R}^N$ 内の $q$ 単体とする。 このとき、 $$K(\sigma) = \{ \tau \ | \ \tau \text{ は } \sigma \text{ の面 }\}$$ と置くと $K(\sigma)$ は単体複体であり、 $|K(\sigma)| = \sigma$ となる。 たとえば、

  • $\sigma = |a_0 a_1|$ に対しては $K(\sigma) = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_0 a_1|\}$ であり、
  • $\sigma = |a_0 a_1 a_2|$ に対しては $K(\sigma) = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_0 a_1|, |a_1 a_2|, |a_2 a_0|, |a_0 a_1 a_2|\}$ であり、
  • $\sigma = |a_0 a_1 a_2 a_3|$ に対しては $K(\sigma) = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_0 a_1|, |a_0 a_2|, |a_0 a_3|, |a_1 a_2|, |a_1 a_3|, |a_2 a_3|, |a_0 a_1 a_2|, |a_0 a_1 a_3|, |a_0 a_2 a_3|, |a_1 a_2 a_3|, |a_0 a_1 a_2 a_3|\}$ である。

ちなみに、$|K(\sigma)| = \sigma$ は $q$ 次元球体の多面体的な近似と思える。

例1.12.2(単体の境界)

解説

$\sigma$ を $\mathbb{R}^N$ 内の $q$ 単体とする。 このとき、 $$K(\partial \sigma) = K(\sigma) - \{\sigma\}$$ と置くと $K(\partial \sigma)$ は単体複体であり、 $|K(\partial \sigma)| = \bigcup \{\sigma \text{ の } (q - 1) \text{ 面 }\}$ となる。 たとえば、

  • $\sigma = |a_0 a_1|$ に対しては $K(\partial \sigma) = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|\}$ であり、
  • $\sigma = |a_0 a_1 a_2|$ に対しては $K(\partial \sigma) = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_0 a_1|, |a_1 a_2|, |a_2 a_0|\}$ であり、
  • $\sigma = |a_0 a_1 a_2 a_3|$ に対しては $K(\partial \sigma) = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_0 a_1|, |a_0 a_2|, |a_0 a_3|, |a_1 a_2|, |a_1 a_3|, |a_2 a_3|, |a_0 a_1 a_2|, |a_0 a_1 a_3|, |a_0 a_2 a_3|, |a_1 a_2 a_3|\}$ である。

また、多面体については

  • $q = 1$ (線分)の場合、 $|K(\partial \sigma)|$ は端点二つであり、
  • $q = 2$ (三角形)の場合、 $|K(\partial \sigma)|$ は三角形の周であり、
  • $q = 3$ (四面体)の場合、 $|K(\partial \sigma)|$ は四面体の表面である。

ちなみに、$|K(\partial \sigma)|$ は $(q - 1)$ 次元球面の多面体的な近似と思える。

例1.12.3(正方形)

解説

$\mathbb{R}^2$ の四点 $a_0 = (0, 0), a_1 = (0, 1), a_2 = (1, 1), a_3 = (1, 0)$ をとる。 このとき、 $$K = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_0 a_1|, |a_1 a_2|, |a_2 a_0|, |a_0 a_3|, |a_3 a_2|, |a_0 a_1 a_2|, |a_0 a_2 a_3|\}$$ と置くと $K$ は単体複体であり、 $|K|$ は正方形となる。 正方形を、二つの $2$ 単体 $|a_0 a_1 a_2|, |a_0 a_2 a_3|$ を貼り合わせて組み上げたのである。

例1.12.4(正方形に毛が生えた図形)

解説

例1.11.3の状況を引き継ぎ、さらに $\mathbb{R}^2$ の点 $a_4 = (2, -1)$ をとる。 このとき、 $$K' = K \cup \{|a_4|, |a_1 a_4|\}$$ と置くと $K'$ は単体複体であり、 $|K|$ は正方形と線分の合併となる。

例1.12.5(ちょうちょ)

解説

$\mathbb{R}^2$ の五点 $a_0 = (0, 0), a_1 = (1, 1), a_2 = (1, -1), a_3 = (-1, 1), a_4 = (-1, -1)$ をとる。 このとき、 $$K = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_4|, |a_0 a_1|, |a_1 a_2|, |a_2 a_0|, |a_0 a_3|, |a_3 a_4|, |a_4 a_0|\}$$ と置くと $K$ は単体複体であり、 $|K|$ はちょうちょ形の図形となる。 なお、 $$K' = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_4|, |a_0 a_1|, |a_1 a_2|, |a_2 a_0|, |a_0 a_3|, |a_3 a_4|, |a_4 a_0|, |a_0 a_1 a_2|, |a_0 a_3 a_4|\}$$ と置けば、多面体 $|K'|$ として羽に穴の空いていないちょうちょが得られる。

例1.12.6(十字)

解説

多面体にあたる図形を先に考え、それを与える単体複体を求めてみよう。 ここでは、$\mathbb{R}^2$ の五点 $a_0 = (0, 0), a_1 = (1, 0), a_2 = (-1, 0), a_3 = (0, 1), a_4 = (0, -1)$ をとり、十字形の図形 $J = |a_1 a_2| \cup |a_3 a_4|$ を多面体に持つ単体複体を求める。

このとき、 $$K_1 = \{\varnothing, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_4|, |a_1 a_2|, |a_3 a_4|\}$$ は単体複体にならない。実際、 $|a_1 a_2|$ と $|a_3 a_4|$ の交わりである $|a_0|$ は $K_1$ に属していない。つまり、単体複体の条件(1)に反する。

ということで、 $|a_0|$ を付け加えた集合 $$K_2 = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_4|, |a_1 a_2|, |a_3 a_4|\}$$ を考えてみる。 しかし、 $K_2$ も単体複体にならない。実際、 $|a_1 a_2|$ と $|a_3 a_4|$ の交わりである $|a_0|$ は $|a_1 a_2|$ と $|a_3 a_4|$ どちらの面にもなっていない。つまり、単体複体の条件(2)に反する。

以上の考察から、 $|a_1 a_2|$ と $|a_3 a_4|$ を一旦取り除き、 $|a_0|$ を面に持つような単体を付け加えて $|a_1 a_2|$ と $|a_3 a_4|$ の代わりとしたい。 そこで、集合 $$K_3 = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_4|, |a_0 a_1|, |a_0 a_2|, |a_0 a_3|, |a_0 a_4|\}$$ を考えてみる。 何をしたかというと、 $|a_1 a_2|$ を $|a_0 a_1|, |a_0 a_2|$ に、 $|a_3 a_4|$ を $|a_0 a_3|, |a_0 a_4|$ に"細かく"したのである。 すると、 $K_3$ は単体複体になることが分かるし、 $|K_3| = J$ である。 これで所望の単体複体が得られた。

なお、多面体が $J$ となるような単体複体は $K_3$ だけではない。実際、点 $a_5 = (\frac{1}{2}, 0)$ をとるとき、集合 $$K_4 = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_4|, |a_5|, |a_0 a_5|, |a_5 a_1|, |a_0 a_2|, |a_0 a_3|, |a_0 a_4|\}$$ も単体複体であって、 $|K_4| = J$ である。

演習問題1.13

以下のそれぞれの単体複体に対して、その次元を答えよ。

(1) 例1.12.1の単体複体 $K(\sigma)$
(2) 例1.12.2の単体複体 $K(\partial \sigma)$
(3) 例1.12.3の単体複体 $K$
(4) 例1.12.4の単体複体 $K$
(5) 例1.12.5の単体複体 $K$
(6) 例1.12.5の単体複体 $K'$
(7) 例1.12.6の単体複体 $K_3$
(8) 例1.12.6の単体複体 $K_4$

また、自身で身近な図形を見つけ、それを多面体に持つ単体複体を構成できないか考えてみよ。

Proof.

(1) $q$
(2) $q - 1$
(3) $2$
(4) $2$
(5) $1$
(6) $2$
(7) $1$
(8) $1$

部分複体

最後に少しだけ概念を導入する。骨格を考えるという発想は、単体複体が単体を貼り合わせて組み上げられたものであることをより強く実感させてくれるかもしれない。

定義1.14(部分複体)

単体複体 $K$ の部分集合 $L$ がそれ自身単体複体であるとき、 $L$ を $K$ の部分複体(subcomplex)という。

注意1.15

$L$ が単体複体 $K$ の部分複体であるとき、 $\dim L \le \dim K$ であるし、 $|L| \subset |K|$ である。

定義1.16(骨格)

単体複体 $K$ と整数 $q \ge 0$ に対して、 $K$ の部分集合 $$K^{(q)} = \{\sigma \in K \ | \ \dim \sigma \le q\}$$ を $K$ の $q$ 骨格( $q$ -skeleton)という。

注意1.17

  • 包含関係 $K^{(0)} \subset K^{(1)} \subset \cdots \subset K^{(n)} = K$ がある。ただし、 $n = \dim K$ である。
  • $K^{(q)}$ は $K$ の部分複体であり、 $\dim K^{(q)} \le q$ である。
  • $0$ 骨格 $K^{(0)}$ は、 $K$ の頂点集合と $\{\varnothing\}$ の合併に他ならない[3]

例1.18

$q$ 単体 $\sigma$ に対して、 $K(\partial \sigma)$ は $K(\sigma)$ の $(q - 1)$ 骨格である。

演習問題1.19

$3$ 単体 $\sigma = |a_0 a_1 a_2 a_3|$ が定める単体複体 $K(\sigma)$ に対して、 $0$ 骨格、 $1$ 骨格、 $2$ 骨格、 $3$ 骨格をそれぞれ答えよ。これも絵を描いてみるとよい。

Proof.

  • $K(\sigma)^{(0)} = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|\}$
  • $K(\sigma)^{(1)} = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_0 a_1|, |a_0 a_2|, |a_0 a_3|, |a_1 a_2|, |a_1 a_3|, |a_2 a_3|\}$
  • $K(\sigma)^{(2)} = \partial K(\sigma) = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_0 a_1|, |a_0 a_2|, |a_0 a_3|, |a_1 a_2|, |a_1 a_3|, |a_2 a_3|, |a_0 a_1 a_2|, |a_0 a_1 a_3|, |a_0 a_2 a_3|, |a_1 a_2 a_3|\}$
  • $K(\sigma)^{(3)} = K(\sigma) = \{\varnothing, |a_0|, |a_1|, |a_2|, |a_3|, |a_0 a_1|, |a_0 a_2|, |a_0 a_3|, |a_1 a_2|, |a_1 a_3|, |a_2 a_3|, |a_0 a_1 a_2|, |a_0 a_1 a_3|, |a_0 a_2 a_3|, |a_1 a_2 a_3|, |a_0 a_1 a_2 a_3|\}$

この章のおわりに

この章では、次の事柄を学んだ。

  • 単体と呼ばれる、図形のピースのようなものの定義と例。
  • 単体複体と呼ばれる、組合せ的な幾何的対象の定義と例。
  • Euclid空間内の与えられた部分集合を多面体に持つような単体複体の構成例。
  • 部分複体・骨格の定義と例。

次回は、単体複体の二元体係数ホモロジーの定義に向かって概念の導入・議論を進める。

脚注

  1. 流儀として $\varnothing$ を単体と見做さないことも多い。
  2. やはり、流儀として $\varnothing$ を面と見做さないことも多い。
  3. $\varnothing$ を単体と見做さなければ、$0$ 骨格 $K^{(0)}$ は単に $K$ の頂点集合である。