ガロア理論の基礎3:円分体と作図問題
この章では円分体と作図問題について述べる。
定義 3. ($n$乗根・原始$n$乗根)
$n\in\mathbb{N}$、$z\in\mathbb{C}$とする。
\[ z^n=1 \]
の解を1の$n$乗根という。
$n$乗根$\xi$のうち、${\xi}^i\neq1(i=1,\cdots,n-1)$を満たすものを原始$n$乗根という。
特に、$1\leq k\leq n-1$で$GCD(k,n)=1$のとき
\[ \xi_n=\exp\left(\frac{2k\pi i}{n}\right) \]
とすると$\xi_n$は原始$n$乗根となる。
命題 3. ($\mathbb{Q}$上$x^n-1$の根は$n$乗根)
$f=x^n-1\in\mathbb{Q}[x]$とする。
$f$は重根を持たず、$1,\xi_n,\cdots{\xi_n}^{n-1}$を根に持つ。
Proof.
$f(\alpha)=0$ならば$\alpha\neq0$で、$f^\prime=nx^{n-1}$より$f^\prime(\alpha)\neq0$。
よって、$f$は重根を持たない。
$1,\xi_n,\cdots{\xi_n}^{n-1}$が$f$の根であることは代入すればわかる。
□定義 3. (円分体)
$\mathbb{Q}(\xi_n)$と書ける体を円分体という。
命題 3. ($\mathbb{Q}(\xi_n)/\mathbb{Q}$はガロア拡大)
$\mathbb{Q}(\xi_n)/\mathbb{Q}$はガロア拡大である。
Proof.
$\xi_n^n-1=0$なので$\xi_n$は$\mathbb{Q}$上代数的で、$\mathbb{Q}(\xi_n)/\mathbb{Q}$は代数拡大である。
$\mathbb{Q}$が完全体なので、任意の代数拡大は分離拡大となるため、$\mathbb{Q}(\xi_n)/\mathbb{Q}$は分離拡大。
$\xi_n^n-1=0$の根は$1,\xi_n,\cdots,\xi_n^{n-1}$であり、$1,\xi_n,\cdots,\xi_n^{n-1}\in\mathbb{Q}(\xi_n)$なので$\mathbb{Q}(\xi_n)/\mathbb{Q}$は正規拡大。
以上より、$\mathbb{Q}(\xi_n)/\mathbb{Q}$はガロア拡大。
□定義 3. (円分多項式)
\[ \Phi_n(x)=\prod_{GCD(1,i)=1,1\leq i\leq n}(1-\xi_n^i) \]
と定義する。
$\Phi_n$を$n$次の円分多項式という。
定義 3. (オイラー関数)
写像$\phi:\mathbb{N}\rightarrow\mathbb{N}$を
\[ \phi(1)=1 \]
\[ \phi(n)=|(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^\times|(n\geq 2) \]
と定義する。
$\phi$をオイラー関数という。
命題 3. ($\phi(mn)=\phi(m)\phi(n)$)
$m,n\in\mathbb{N}$が互いに素であるとする。
\[ \phi(mn)=\phi(m)\phi(n) \]
Proof.
\[ (\mathbb{Z}/mn\mathbb{Z})^\times\cong(\mathbb{Z}/m\mathbb{Z})^\times\times(\mathbb{Z}/n\mathbb{Z})^\times \]
より明らか。
□命題 3. ($\Phi_n$は$\xi_n$の最小多項式)
$\Phi_n$は$\xi_n$の最小多項式である。
Proof.
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定義 3. ()
例 3. ()
命題 3. ()
Proof.
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命題 3. ()
Proof.
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命題 3. ()
Proof.
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