Banach空間と有界線型作用素

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Banach空間と有界線型作用素

本稿においては、$\mathbb{F}$ により $\mathbb{R}$ か $\mathbb{C}$ を表すこととする。また $\mathbb{N}=\{1,2,3,\ldots\}$ とする。

この記事の内容は位相線形空間1:ノルムと内積 に組み込まれました。

1. ノルム

定義1.1(ノルム空間、Banach空間)

$X$ を $\mathbb{F}$ 上の線型空間とする。 $$X\ni x\mapsto \lVert x\rVert \in [0,\infty)$$ が $X$ 上のノルムであるとは次が成り立つことを言う。

  • $(1)$ 任意の $x,y\in X$ に対し、$\lVert x+y\rVert\leq \lVert x\rVert+\lVert y\rVert$.
  • $(2)$ 任意の $x\in X$ と任意の $\alpha\in \mathbb{F}$ に対し、$\lVert \alpha x\rVert=\lvert\alpha\rvert\lVert x\rVert$.
  • $(3)$ $\lVert x\rVert=0$ $\Leftrightarrow$ $x=0$.

ノルムが備わった $\mathbb{F}$ 上の線型空間を $\mathbb{F}$ 上のノルム空間と言う。$\mathbb{F}$ 上のノルム空間 $X$ に対し、

$$X\times X\ni (x,y)\mapsto \lVert x-y\rVert\in[0,\infty)$$

は $X$ 上の距離である。ノルム空間はこの距離による距離空間とみなす。そして $\mathbb{F}$ 上のノルム空間で、この距離により完備距離空間であるものを $\mathbb{F}$ 上の Banach 空間と言う。


ユークリッド空間 $\mathbb{R}^N$ は $\mathbb{R}$ 上のBanach 空間、ユニタリ空間 $\mathbb{C}^N$ は $\mathbb{C}$ 上のBanach 空間である。

注意1.2

ノルム空間 $X$ の線型部分空間 $M$ は、$X$ のノルムをそのまま受け継いでノルム空間である。また $X$ がBanach空間で、$M$ が閉線型部分空間であるとき、$M$ はBanach空間である。


定義1.3(ノルム環、Banach環)

$\mathbb{F}$ 上の多元環 $X$ がノルム空間( resp. Banach 空間)であり、任意の $x,y\in X$ に対し $\lVert xy\rVert\leq \lVert x\rVert\lVert y\rVert$ が成り立つとき、$X$ を $\mathbb{F}$ 上のノルム環( resp. Banach 環)と言う。

2. 有界線型作用素、作用素ノルム

定義2.1(有界線型作用素と作用素ノルム)

$X, Y$ を $\mathbb{F}$ 上のノルム空間とする。$X\rightarrow Y$ の線型作用素全体に各点ごとの演算を入れて得られる $\mathbb{F}$ 上の線型空間を $\mathbb{L}(X,Y)$ と表す。そして任意の $T\in \mathbb{L}(X,Y)$ に対し、

$$\lVert T\rVert=\sup\{\lVert Tx\rVert : x\in X, \lVert x\rVert\leq 1\}$$

とおき、

$$\mathbb{B}(X,Y)=\{T\in \mathbb{L}(X,Y):\lVert T\rVert<\infty\}$$

とおく。$\mathbb{B}(X,Y)$ の元を $X\rightarrow Y$ の有界線型作用素と言う。

$$\lVert Tx\rVert\leq\lVert T\rVert \lVert x\rVert\quad(\forall T\in \mathbb{B}(X,Y), \forall x\in X)$$

であるから、$\mathbb{B}(X,Y)$ は $\mathbb{L} (X,Y)$ の線型部分空間であり、

$$\mathbb{B}(X,Y)\ni T\mapsto \lVert T\rVert\in [0,\infty)$$

は $\mathbb{B}(X,Y)$ 上のノルムである。このノルムを作用素ノルムと言う。


注意2.2

ノルム空間 $X$ に対し、$X\rightarrow X$ の線型作用素全体のなす線型空間

$$\mathbb{L}(X)=\mathbb{L}(X,X)$$

は作用素の合成を乗法として多元環をなす。そして、

$$\mathbb{B}(X)=\mathbb{B}(X,X)\subset \mathbb{L}(X)$$

は、

$$\lVert STx\rVert\leq \lVert S\rVert \lVert Tx\rVert \leq \lVert S\rVert \lVert T\rVert \lVert x\rVert\quad (\forall S,T\in \mathbb{B}(X), \forall x\in X)$$


よりノルム環をなす。命題2.4で見るように $X$ がBanach空間ならば $\mathbb{B}(X)$ はBanach環である。


命題2.3(有界線型作用素の特徴付け)

$X,Y$ をノルム空間とする。$T\in \mathbb{L}(X,Y)$ に対し次は互いに同値である。

  • $(1)$ $T\in \mathbb{B}(X,Y)$.
  • $(2)$ $T$ は一様連続である。
  • $(3)$ $T$ は $0\in X$ において連続である。

証明

$(1)\Rightarrow(2)$ は $\lVert Tx\rVert\leq \lVert T\rVert \lVert x\rVert$ であることによる。 $(2)\Rightarrow(3)$ は自明である。$(3)\Rightarrow(1)$ を示す。 $T$ が $0\in X$ において連続であるとすると、$\delta\in(0,\infty)$ が存在し $\lVert x\rVert\leq \delta$ を満たす任意の $x\in X$ に対し $\lVert Tx\rVert\leq 1$ となる。よって $T$ の線型性より、

$$\lVert T\rVert=\sup\{\lVert Tx\rVert: \lVert x\rVert\leq 1\}\leq \delta^{-1}$$

であるから、$T$ は有界線型作用素である。

命題2.4($Y$ がBanach空間ならば $\mathbb{B}(X,Y)$ は Banach 空間)

$X$ をノルム空間、$Y$ をBanach空間とする。このとき $\mathbb{B}(X,Y)$ は Banach 空間である。

証明

$(T_n)_{n\in \mathbb{N}}$ を $\mathbb{B}(X,Y)$ の Cauchy 列とする。任意の $x\in X$ に対し、

$$\lVert T_nx-T_mx\rVert\leq \lVert T_n-T_m\rVert \lVert x\rVert\quad(\forall n,m\in\mathbb{N})$$

であるから、$(T_nx)_{n\in \mathbb{N}}$ はBanach空間 $Y$ の Cauchy 列である。よって、

$$Tx=\lim_{n\rightarrow\infty} T_nx\quad(\forall x\in X)$$

として $T:X\rightarrow Y$ が定義でき、$T$ は明らかに線型作用素である。任意の $\epsilon\in (0,\infty)$ に対し $n_0\in\mathbb{N}$ で、

$$\lVert T_n-T_m\rVert\leq \epsilon\quad(\forall n,m\geq n_0)$$

なるものを取る。このとき任意の $m\geq n_0$と、$\lVert x\rVert\leq 1$ なる任意の $x\in X$ に対し、

$$\lVert Tx-T_mx\rVert=\lim_{n\rightarrow\infty}\lVert T_nx-T_mx\rVert=\inf_{n\in\mathbb{N}}\sup_{k\geq n}\lVert T_kx-T_mx\rVert\leq \sup_{k\geq n_0}\lVert T_kx-T_mx\rVert \leq \epsilon$$

であるから $T=(T-T_m)+T_m\in \mathbb{B}(X,Y)$ であり、$(T_n)_{n\in\mathbb{N}}$ は $T$ に収束する。よって $\mathbb{B}(X,Y)$ は Banach 空間である。

定義2.5(ノルム空間 $X$ の双対空間 $X^*$ )

$X$ を $\mathbb{F}$ 上のノルム空間とする。命題2.4より $\mathbb{B}(X,\mathbb{F})$ はBanach空間である。これを $X$ の双対空間と言い、$X^*$ と表す。

命題2.6(有界線型作用素の閉包上への一意拡張)

$X$ をノルム空間、$Y$ をBanach空間、$M\subset X$ を部分空間とする。このとき任意の $T\in \mathbb{B}(M,Y)$ に対し $\overline{T}\in \mathbb{B}(\overline{M},Y)$ で、 $\overline{T}|_M=T$ を満たすものが唯一つ存在する。そして $\lVert \overline{T}\rVert=\lVert T\rVert$ である。


証明


一意性は $M\subset \overline{M}$ の稠密性と $\mathbb{B}(\overline{M},Y)$ の元の連続性による。存在を示す。任意の $x\in \overline{M}$ に対し $x$ に収束する $M$ の列 $(x_n)_{n\in\mathbb{N}}$ が取れ、$\lVert Tx_n-Tx_m\rVert\leq \lVert T\rVert \lVert x_n-x_m\rVert$ $(\forall n,m\in\mathbb{N})$ であるから $(T_nx)_{n\in\mathbb{N}}$ はBanach空間 $Y$ の Cauchy 列である。よって $(Tx_n)_{n\in\mathbb{N}}$ は収束する。$(x_n)_{n\in\mathbb{N}}$ とは別に $x$ に収束する $M$ の列 $(x_n')_{n\in \mathbb{N}}$ を取ると、

$$\lVert Tx_n-Tx_n'\rVert\leq \lVert T\rVert \lVert x_n-x_n'\rVert\leq \lVert T\rVert( \lVert x_n-x\rVert +\lVert x-x_n'\rVert)\rightarrow0\quad(n\rightarrow\infty)$$

であるから、$(Tx_n)_{n\in \mathbb{N}}$ と $(Tx_n')_{n\in \mathbb{N}}$ が収束する点は一致する。よって $\overline{T}x=\lim_{n\rightarrow\infty} Tx_n$ として $\overline{T}:\overline{M}\rightarrow Y$ が定義できる。$\overline{T}$ は明らかに線型作用素であり、$T$ の拡張である。そして、

$$\lVert \overline{T}x\rVert=\lim_{n\rightarrow\infty}\lVert Tx_n\rVert \leq \lim_{n\rightarrow\infty}\lVert T\rVert \lVert x_n\rVert=\lVert T\rVert \lVert x\rVert$$

であるから $\overline{T}\in \mathbb{B}(\overline{M},Y)$、$\lVert \overline{T}\rVert\leq \lVert T\rVert$である。逆の不等式は $\overline{T}$ は $T$ の拡張であるから成り立つ。

3. 有限次元ノルム空間

命題3.1(基本命題)

$X$ を $\mathbb{F}$ 上の有限次元ノルム空間、$e_1,\ldots, e_N$ を $X$ の基底とし、線型同型写像

$$\Phi: \mathbb{F}^N\ni (t_1,\ldots, t_N)\mapsto \sum_{j=1}^{N}t_je_j\in X$$

を定義する。このとき $\Phi^{-1}:X\rightarrow \mathbb{F}^N$ は有界線型作用素である。

証明

$$B=\{t\in \mathbb{F}^N: \lvert t\rvert<1\},\quad S=\{t\in \mathbb{F}^N:\lvert t\rvert=1\},\quad E=\{t\in \mathbb{F}^N: \lvert t\rvert>1\}$$

とおく。$\Phi$ は連続であり、$S$ はコンパクトであるから $\Phi(S)$ は $X$ のコンパクト集合、したがって閉集合である。そして $0\in X\backslash \Phi(S)$ であるから、

$$\overline{B}_X(0,\delta)=\{x\in X:\lVert x\rVert\leq\delta\}\subset X\backslash \Phi(S)=\Phi(B\cup E)$$

なる $\delta\in(0,\infty)$ が取れる。

$$\Phi^{-1}(\overline{B}_X(0,\delta))\subset B\cup E$$

であり、$\Phi^{-1}(\overline{B}_X(0,\delta))$ は凸集合ゆえ(弧状)連結であるから、

$$\Phi^{-1}(\overline{B}_X(0,\delta))\subset B$$

が成り立つ。これより、

$$\lVert \Phi^{-1}(x)\rVert\leq \delta^{-1}\lVert x\rVert\quad(\forall x\in X)$$

が成り立つので、$\Phi^{-1}:\mathbb{F}^N\rightarrow X$ は有界線型作用素である。


系3.2(有限次元ノルム空間はBanach空間)

任意の有限次元ノルム空間はBanach空間である。

証明

$X$ を $\mathbb{F}$ 上の $N$ 次元ノルム空間とし、命題3.1における同相写像 $\Phi:\mathbb{F}^N\rightarrow X$ を考える。$(x_n)_{n\in\mathbb{N}}$ を $X$ の Cauchy 列とすると、$(\Phi^{-1}(x_n))_{n\in \mathbb{N}}$ は $\mathbb{F}^N$ の Cauchy 列であり、$\mathbb{F}^N$ は Banach 空間であるので $(\Phi^{-1}(x_n))_{n\in \mathbb{N}}$ は収束する。よって $(x_n)_{n\in\mathbb{N}}$ は収束する。

系3.3(ノルム空間の有限次元部分空間は自動的に閉)

ノルム空間の有限次元部分空間は閉である。

証明

$X$ をノルム空間、$M\subset X$ を有限次元部分空間とする。任意の $x\in \overline{M}$ に対し $x$ に収束する $M$ の点列 $(x_n)_{n\in \mathbb{N}}$ が取れる。$M$ はBanach空間なので $(x_n)_{n\in\mathbb{N}}$ は $M$ において収束する。ゆえに $x\in M$ である。


系3.4(有限次元ノルム空間からノルム空間への線型作用素は自動的に有界)

$X$ を $\mathbb{F}$ 上の有限次元ノルム空間、$Y$ を$\mathbb{F}$ 上の任意のノルム空間とする。このとき任意の線型作用素 $T:X\rightarrow Y$ に対し $T$ は有界線型作用素である。


証明

$X$ を $\mathbb{F}$ 上の $N$ 次元ノルム空間とし、命題3.1における同相写像 $\Phi:\mathbb{F}^N\rightarrow X$ を考える。

$$\hat{T}: \mathbb{F}^N\ni (t_1,\ldots,t_N)\mapsto \sum_{j=1}^{N}t_jTe_j\in Y$$

は連続な線型作用素なので有界線型作用素である。$T$ は有界線型作用素 $\Phi^{-1}$ と $\hat{T}$ の合成なので、有界線型作用素である。


4. Banach空間における総和

定義4.1(総和 $\sum_{j\in J}x_j$ の収束)

$X$ をノルム空間、$J$ を集合とし、各 $j\in J$ に対し $x_j\in X$ が与えられているとする。そして $\mathcal{F}_J$ を $J$ の有限部分集合全体に集合の包含関係による順序を入れた有向集合とする。$\mathcal{F}_J$ によって添字付けられた $X$ のネット $(\sum_{j\in F}x_j)_{F\in \mathcal{F}_J}$ が収束するとき、$\sum_{j\in J}x_j$ は収束すると言い、その収束点を、

$$\sum_{j\in J}x_j=\lim_{F\rightarrow J}\sum_{j\in F}x_j$$

と表す。

ネットについてはネットによる位相空間論を参照されたい。


注意4.2( $\sum_{n=1}^{\infty}x_n$ と $\sum_{n\in\mathbb{N}}x_n$ )

$\sum_{n\in\mathbb{N}}x_n$ が収束するならば $\sum_{n=1}^{\infty}x_n$ は $\sum_{n\in\mathbb{N}}x_n$ に収束する。しかし逆は一般に成り立たない。

命題4.3(総和が収束するならば可算個を除いて $0$ )

$\sum_{j\in J}x_j$ が収束するならば、$\{j\in J:x_j\neq 0\}$ は可算集合である。

証明

任意の $\epsilon\in(0,\infty)$ に対し $J_{\epsilon}=\{j\in J:\lVert x_j\rVert\geq\epsilon\}$ とおくと、

$$\{j\in J:x_j\neq0\}=\bigcup_{n\in\mathbb{N}}J_{\frac{1}{n}}$$

である。これより任意の $\epsilon\in(0,\infty)$ に対し $J_{\epsilon}$ が有限集合であることを示せばよい。$\sum_{j\in J}x_j$ は収束するので、$F_{\epsilon}\in \mathcal{F}_J$ が存在し $F\supset F_{\epsilon}$ なる任意の $F\in \mathcal{F}_J$ に対し、

$$\left\lVert \sum_{j\in F}x_j-\sum_{j\in F_{\epsilon}}x_j\right\rVert<\epsilon$$

となる。よって任意の $j\in J\backslash F_{\epsilon}$ に対し $\lVert x_j\rVert<\epsilon$ であるから、$J_{\epsilon}\subset F_{\epsilon}$ である。ゆえに $J_{\epsilon}$ は有限集合である。



定義4.4(非負数の総和)

$J$ を空でない集合とし、各 $j\in J$ に対し $x_j\in [0,\infty]$ が与えられているとする。$J$ の有限部分集合全体 $\mathcal{F}_J$ に対し、

$$\sum_{j\in J}x_j=\sup_{F\in \mathcal{F_J}}\sum_{j\in F}x_j\in [0,\infty]$$

と定義する。$\mathbb{R}$ の上に有界な単調増加ネットは上限に収束するから、この定義は $x_j\in [0,\infty)$ $(\forall j\in J)$ で $\sum_{j\in J}x_j$ が収束する場合と矛盾しない。

定義4.5(総和の絶対収束)

$X$ をノルム空間、$J$ を集合とし、各 $j\in J$ に対し $x_j\in X$ が与えられているとする。$\sum_{j\in J}\lVert x_j\rVert<\infty$ が成り立つとき $\sum_{j\in J}x_j$ は絶対収束すると言う。



命題4.6(Banach空間における総和について絶対収束 $\Rightarrow$ 収束)

$X$をBanach空間、$J$を集合とし、各 $j\in J$ に対し $x_j\in X$ が与えられているとする。そして $\sum_{j\in J}x_j$ が絶対収束するとする。このとき $\sum_{j\in J}x_j$ は収束する。


証明

$J_0=\{j\in J:x_j\neq0\}$ とおく。 命題4.3より $J_0$ は可算集合である。もし $J_0$ が有限集合ならば明らかに $\sum_{j\in J}x_j$ は $\sum_{j\in J_0}x_j$ に収束する。 そこで $J_0$ は可算無限集合であるとし $\mathbb{N}\ni n\mapsto j_n\in J_0$ を全単射とする。

$$\sum_{n=1}^{\infty}\lVert x_{j_n}\rVert=\sum_{n\in \mathbb{N}}\lVert x_{j_n}\rVert=\sum_{j\in J_0}\lVert x_j\rVert=\sum_{j\in J}\lVert x_j\rVert<\infty$$

であり、$N>M$ なる任意の $N,M\in \mathbb{N}$ に対し、

$$\left\lVert\sum_{n=1}^{N}x_{j_n}-\sum_{n=1}^{M}x_{j_n}\right\rVert \leq \sum_{n=M+1}^{N}\lVert x_{j_n}\rVert =\sum_{n=1}^{N}\lVert x_{j_n}\rVert-\sum_{n=1}^{M}\lVert x_{j_n}\rVert$$

であるから $X$ の完備性より$\sum_{n=1}^{\infty}x_{j_n}$ は収束する。任意の $\epsilon\in(0,\infty)$ に対し $N\in \mathbb{N}$ で、 $$\left\lVert \sum_{n=1}^{\infty}x_{j_n}-\sum_{n=1}^{N}x_{j_n}\right\rVert<\frac{\epsilon}{2},\quad \sum_{n\geq N+1}\lVert x_{j_n}\rVert<\frac{\epsilon}{2}$$ なるものを取ると、$F\supset \{j_1,\ldots,j_N\}$ なる任意の $F\in \mathcal{F}_J$に対し,

$$\left\lVert \sum_{n=1}^{\infty}x_{j_n}-\sum_{j\in F}x_j\right\rVert \leq \lVert \sum_{n=1}^{\infty}x_{j_n}-\sum_{n=1}^{N}x_{j_n}\rVert+\sum_{n\geq N+1}\lVert x_{j_n}\rVert<\epsilon$$

となるので $\sum_{j\in J}x_j$ は $\sum_{n=1}^{\infty}x_{j_n}$ に収束する。


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