構成可能集合(位相)

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mathpedia においてはコンパクト性Hausdorff性を基本的に課していない。その原則はこの記事においても守られるが、コンパクト空間のことを指して準コンパクト空間と呼ぶことにする。これは代数幾何学においてしばしば現れる語法である。


定義

定義 1 (準コンパクト射)

位相空間の射 $f\colon X\to Y$ が準コンパクト(quasi-compact)であることを、$Y$ の準コンパクト開集合 $U$ について $f^{-1}(U)$ の準コンパクト性が成り立つこととして定義する。

固有射との差異

位相空間の射が固有(proper)であるとは、準コンパクト集合の逆像が準コンパクトであることをいう。明らかに、固有射ならば準コンパクトである。

定義 2 (遡コンパクト)

位相空間 $X$ の部分集合 $W$ が遡コンパクト(retrocompact)であることを、包含射 $i:W\to X$ が準コンパクトであることと定める。

定義 3 (構成可能集合)

位相空間 $X$ の部分集合 $Z$ が構成可能集合(constructible set)であることを、有限個の遡コンパクトである開集合 $U_1,V_1,\ldots,U_n,V_n$ について $Z=(U_1\cap (X-V_1))\cup \ldots \cup (U_n\cap (X-V_n))$ が成り立つようにできることをいう。

構成可能集合全体の集合

位相空間 $X$ について、$X$ の構成可能集合全体の集合を $\mathrm{Constructible}(X)$ と(一時的に)表記する。このとき、$\mathrm{Constructible}(X)$ は以下の条件を充たす最小の集合として定義される。

  • $X$ の遡コンパクト開集合をすべて含む
  • 補集合を取る操作に閉じる
  • 有限交叉を取る操作に閉じる

Noether空間における構成可能集合

定義 4 (Noether空間)

位相空間 $X$ がNoether空間であるとは、どのような $X$ の開集合の上昇列 $U_1 \subset U_2 \subset \ldots $ についても、充分先で列が停留することをいう。

補題 5 (Noether性の部分集合への遺伝)

Noether空間 $X$ の部分集合 $Y$ について、$Y$ はNoether空間である。

証明

$Y$ の開集合の上昇列 $V_1 \subset V_2 \subset \ldots $ について、$V_\bullet = Y \cap U_\bullet$ なる $X$ の開集合をとる。また $U_n$ と $\bigcup_{1 \leq i \leq n} U_i$ とを取り換えることで $U_1 \subset U_2 \subset \ldots $ が成り立つと仮定してよい。このとき、$X$ の Noether性より、$U_\bullet$ は停留する。したがって $V_\bullet$ も停留する。
補題 6 (Noether空間は準コンパクト)

Noether空間は準コンパクトである。

証明

開被覆 $\mathcal{U}=\{U_i\}_{i \in \Lambda}$ が有限細分である開被覆を持たないとする。このとき、開集合の列 $\{V_i\}_{i \in \mathbb{N}}$ であって、次の条件をみたすものが取れる。

  • $V_i \in \mathcal{U}$
  • $V_i \not\subset \bigcup_{1 \leq j \leq i-1} V_j$
このとき $\bigcup_{1 \leq j \leq i} V_i$ は $X$ の停留しない開集合の上昇列となるため、仮定に反する。従って $X$ は準コンパクトである。
定理 7 (Noether空間における構成可能集合)

Noether空間において、構成可能集合であることと局所閉集合の有限和であることは同値である。

証明

任意の空間において構成可能集合は局所閉集合の有限和である。逆に、Noether空間においては任意の開集合は準コンパクトであり、さらに遡コンパクトであるため、任意の局所閉集合の有限和は構成可能集合となる。

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関連項目

参考文献