コンパクト空間
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コンパクト空間
コンパクト空間は位相空間論の中心的な概念であり、ある意味で「有限の大きさをもつ」位相空間のことである。コンパクト空間の定義は、AlexandroffとUrysohnによって与えられたとされる。(有限次元)ユークリッド空間の有界閉集合において、そのコンパクト性を示したのはBorelである。
定義
位相空間 $X$ がコンパクトであるとは、以下の性質を満たすことを指していう。
- $X$ の任意の開被覆 $\mathcal{U}$ について、$\mathcal{U}$ の有限部分集合 $\mathcal{V}$ が存在して、$\mathcal{V}$ が $X$ の開被覆となる。
また、位相空間 $X$ の部分集合 $K$ に対して、$K$ が $X$ のコンパクト集合であるとは、$K$ が $X$ からの相対位相についてコンパクトな位相空間となることをいう。
重要な定理
- 有限次元ユークリッド空間において部分集合が $X$ が相対位相に関してコンパクトであること $X$ は有界閉集合であることは同値である。(この定理は有限次元であることが本質的である。例えば無限次元Banach空間の単位閉球は必ずコンパクトでない。)
- コンパクト空間の連続写像による像は相対位相でコンパクトである。したがってコンパクト空間からの連続な全射が存在するような位相空間はコンパクトである。
- Hausdorff空間のコンパクト部分集合は閉集合である。
- コンパクト空間からHausdorff空間への連続全単射は同相写像、つまり逆写像が連続となる。
- コンパクトかつHausdorff空間ならば正規空間である。
類似の概念
詳細はコンパクト空間の類似概念を参照されたい。
参考文献
- Ryszard Engelking, "General Topology", 1989