可換モノイド論/自由モノイド
提供: Mathpedia
\(\newcommand{\ker}{\mathrm{ker}} \newcommand{\im}{\mathrm{im}} \newcommand{\nat}{\mathbb{N}} \)
自由モノイド
定義 1 (自由モノイド)
集合 $S$ について、$\bigoplus_{s \in S}\nat$ とは、集合の関数 $f\colon S\to \nat$ であって、有限個の $s \in S$ を除いて $f(s)=0$ が成り立つようなもの全体のなすモノイドのことを指す。この方法で構成されるモノイドを自由モノイドという。
定義 2 (標準基底)
集合 $S$ について $\bigoplus_{s \in S}\nat$ の標準基底とは、集合の射 $S\to \bigoplus_{s \in S}\nat$ であって、次で定まるもののことをいう。
- $s \in S$ に対してのみ $1$ を充て、それ以外の $S$ の元に対して $0$ を充てる関数 $S\to \mathbb{N}$ を $\chi_s$ とよび、このとき $f(s)=\chi_s$ が成り立つ。
自由モノイドからの射
命題 3 (自由モノイドの自由性)
集合 $S$ とモノイド $M$ において、次の対応 $f\colon \mathrm{Hom}_\mathsf{Mon}(\bigoplus_{s \in S}\mathbb{N},M)\to \mathrm{Hom}_\mathsf{Set}(S,M)$ は全単射である。
- $S$ についての標準基底を $i_S$ とおいたとき、 $g\colon \bigoplus_{s \in S}\mathbb{N}\to M$ について、$f(g)=g\circ i_S$
証明
任意の写像 $h\colon S\to M$ について、次のようにモノイドの射 $h'\colon \bigoplus_{s \in S}\mathbb{N}\to M$ を定めることができる。
- $f \in \bigoplus_{s \in S}\mathbb{N}$ について、$h'(f)=\sum_{s\in S}f(s)h(s)$
このとき、$f(h')=h$ が成り立つため、$f$ は全射である。
モノイドの射 $g,g'\colon \bigoplus_{s \in S}\mathbb{N}\to M$ について、$g\circ i_S=g'\circ i_S$ であるならば、写像 $h\colon S\to M$ について $g(h)=\sum_{s\in S}g(\chi_s)h(s)=\sum_{s\in S}g'(\chi_s)h(s)=g'(h)$ より、$g=g'$ が成り立つ。よって $f$ は単射である。□定理 4 (忘却函手の左随伴)
忘却函手 $\mathsf{Mon}\to \mathsf{Set}$ は左随伴を持つ。
証明
指定された{{{type}}}は未宣言の定理環境です。より、任意の集合 $S$ に対してモノイドの圏から集合の圏への函手 $\mathrm{Hom}_{\mathsf{Set}}(S,-)$ は表現可能函手である。□
information
情報源
- P. A. Grillet. "Commutative Semigroups". Springer, Netherlands (2001).