可分空間
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可分空間
可分空間(かぶんくうかん、separable space)とは、位相空間論において、ある意味でサイズが大きすぎない位相空間のことをいう。
以下に示すように $\mathbb{R}$ は 高々可算である集合 $\mathbb{Q}$ を稠密集合としてもつ。この例において、$\mathbb{Q}$ は $\mathbb{R}$ のなかでほとんどの場所に広く分布しているとみなせる。この意味で、$\mathbb{R}$ はそれほど大きい空間ではない。このような位相的な意味で小さな空間について、数学的にさまざまな良い性質を持つ。
定義
位相空間 $X$ が可分であるとは、$X$ が高々可算な稠密部分集合をもつことをいう。すなわち、高々可算な集合 $Y\subset X$ であって、$\overline{Y}=X$ を満たすものが存在することをいう。
例
可分空間の基本的な例として、実数空間 $\mathbb{R}$ がある。実際、$\mathbb{Q}\subset \mathbb{R}$ について、$\mathbb{Q}$ の $\mathbb{R}$ での閉包は $\mathbb{R}$ である($\mathbb{R}$ の空でない開集合 $U$ であって $\mathbb{Q}\cap U=\emptyset$ であるものは存在しない)。$\mathbb{Q}$ は高々可算であるため、$\mathbb{R}$ の可分性が示される。
以下にも述べるが、第二可算空間は可分空間の代表的な例のクラスである。
性質
- 離散空間が可分であることは、それが集合として高々可算であることと同値である。
- 可分なHausdorff空間について、その濃度は $2^{2^{\aleph_0}}$ 以下である。
- ユークリッド空間 $\mathbb{R}^n$ やその部分空間は可分である。
- 可分な位相空間の開集合は、部分空間として可分である。
- 可分な位相空間の連続像は可分である。
- 第二可算な位相空間は可分である。
- 距離化可能な位相空間に対しては、第二可算・可分・Lindelöfの 3 性質は互いに同値である。
- 可分な距離化可能空間の任意の部分空間は可分である。
- 高々連続体濃度個の可分な位相空間の直積空間は可分である。
- 可分な空間の任意個の直積は、可算鎖条件を満たす。すなわち、そのような直積において、空でない開集合からなる族は常に高々可算である。
- 可分なパラコンパクト空間はLindelöf空間となる。