群の中心
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群の中心
群の中心(ちゅうしん、center)とは、「すべての元とのかけ算について可換になるような要素」全体のことである。
定義
群 $G$ の中心 $Z(G)$ とは、$G$ の部分集合 $\{x \in G|\forall y \in G, xy=yx\}$ のことである。
性質
- 中心は正規部分群である。
- 有限 [[$p$-群>p群]]は非自明な中心を持つ。
解説
まず、定義から明らかなように、アーベル群 $G$ について、中心 $Z(G)$ は $G$ と等しくなる。すなわち、$Z(G)$ が大きければ大きいほど $G$ は可換な群に近いのではないかと考えることもできる。
これは具体的な計算により示すことができるが、$3\leq n$ 次の対称群 $S_n$ は自明な中心を持つ。よって、$S_n$ は(上記の意味で)非常に非可換な群であると捉えることができよう。この計算については、対称群にて詳細が述べられている。
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集合 $X=G$ に、群 $G$ の作用を次のように入れる。
- $x\cdot g = g^{-1}xg$
このとき、群の準同型 $G\to \mathrm{Aut}_{\mathsf{Set}}(X)$ を得ることができるが、この準同型の核は $Z(G)$ と一致する。