数理論理学の基礎1
数理論理学 (mathematical logic) あるいは数学基礎論 (foundation of mathematics) とは形式的論理を数学的対象として扱うか、または形式的論理を用いて他の数学的問題に取り組む分野である。 解析学に於いて微分積分が基本的手段たるように、数理論理学に於いては形式的論理が基本的手段とする分野である。 数理論理学から派生する分野はたくさん存在するが、その中でも大きな括りとしてモデル理論、計算理論、公理的集合論、証明論などがあり、また非古典論理などのいろいろな話題がある。 派生する分野を学ぶためには当然数理論理学の基礎的な知識を得る必要がある。特に古典一階述語論理 (classical first order predicate logic) [脚注 1] の完全性定理までは必須と言えよう。 しかし古典一階述語論理は簡単ではない。なぜなら単純に定義が複雑であるからだ。よって本稿では古典一階述語論理より表現能力が低い2つの論理、古典命題論理 (classical propositional logic) と等式論理 (equational logic) を導入し、段階的に古典一階述語論理に近づけていくことで解説する。
記事一覧
- 1. 命題論理
- 2. 等式論理
- 3. 一階述語論理
参考文献
- 1. 命題論理
[新井16] 新井敏康、数学基礎論、岩波書店、2016。
[戸次12] 戸次大介、数理論理学、東京大学出版、2012。
- 2. 等式論理
[田中19] 田中一之、数学基礎論序説、裳華房、2019。
[照井18] 照井一成、「代数学入門」入門としての普遍代数学、2018。pdf:http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~terui/koukai2018c.pdf(最終閲覧日:2020年9月22日)
[Sankappanavar–Burris] H.P. Sankappanavar, S. Burris, A course in universal algebra, Graduate Texts Math 78, 1981.
- 3. 一階述語論理
脚注
- ↑ ここで古典的 (classical) というのは単に古いという意味ではなく、直観主義論理や様相論理と比べ古くから学ばれてきた論理という意味である。またこの記事では基本的に古典論理しか扱わないため「古典」という修飾を適宜省略する。