平方数
平方数
平方数(へいほうすう、square number)とは、ある整数 $n$ の二乗 $n^2=n\times n$ としてあらわせる数のことをいう。非常に古くから平方数については調べられてきたが、そのなかでも特に整数論的に重要な定理のひとつに、平方剰余の相互法則がある。また、整数論における重要な理論である類体論はある意味でこの平方剰余の相互法則の一般化を導くものである。
定義
整数 $x$ が平方数であるとは、以下が成り立つことをいう。
- ある整数 $n$ が存在して、$x=n^2$ が成り立つ。
例
平方数を小さい順にいくつか列挙する:$0$, $1$, $4$, $9$, $16$, $25$, $\ldots$ は自然数である。さらに詳しくは [[1]] も参照されたい。
基本的な性質
平方数は非負整数
平方数は非負整数である。(より一般には、実数の二乗として表せる数は負の数ではない。)
大きな平方数は隣接しない
平方数 $x$ について、$x-2\sqrt{x}+2$ 以上でありかつ $x+2\sqrt{x}$ 以下であるような整数 $y\neq x$ は平方数ではない。例として、$9802$ 以上 $10200$ 以下の平方数は $10000$ のみであることがわかる。
法 $p$ で $\frac{p+1}{2}$ 種類の値
奇素数 $p$ を具体的にひとつとる(例えば、$3$, $7$, $1000000007$ などが身近な例であろう)。このとき平方数 $x$ について、$x$ を $p$ で割った余りの種類は、ちょうど $\frac{p+1}{2}$ 個存在する。実際に $p=7$ のケースでは、平方数は法 $p$ で $0$, $1$, $2$, $4$ の $4$ 種類の値を取る。
平方剰余
$p$ は素数、$q$ は整数であるとする。$q$ が法 $p$ で平方剰余であるとは、ある平方数 $x$ であって $x-q$ が $p$ の倍数となるものが存在することをいう。また、$q$ が法 $p$ で平方剰余でないとき、平方非剰余であるという。
定義 (平方剰余記号)
平方剰余記号とは、$(\frac{q}{p})$ の形で表される、$1$ または $-1$ または $0$ を値にもつ記号である。
- $q$ が $p$ の倍数であるとき、$(\frac{q}{p})$ は $0$ のことを指す。
- $q$ が $p$ の倍数でなく、$q$ が法 $p$ で平方剰余であるとき、$(\frac{q}{p})$ は $1$ のことを指す。
- $q$ が法 $p$ で平方非剰余であるとき、$(\frac{q}{p})$ は $-1$ のことを指す。