可逆層
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リーマン面 $X$ 上の可逆層とは、$X$ の正則関数の層を $\mathcal{O}$ と表記したとき、$\mathcal{O}$-加群であって局所的に階数 $1$ の自由加群となるような層のことをいう。
因子 $D$ が与えられたときに、次のような可逆層 $\mathcal{O}(D)$ を構成できる: $\mathcal{L}(D)(U)$ とは、$U$ 上の有理型関数 $f$ であって、$((f)) \geq D$ なるもの全体のなす層のことをいう。
このとき、$\mathcal{O}(D)$ の大域切断全体のなす集合のことを $\mathcal{L}(D)$ と表記すると、これは自然に $\mathbb{C}$-ベクトル空間となる。
基本的な性質として、$\mathcal{O}(D) \otimes \mathcal{O}(E) \to \mathcal{O}(D + E)$ は同型となる。また、$X$ が閉リーマン面であるとき、$\mathrm{deg}(D) \lt 0$ ならば $\mathcal{O}(D)$ は大域切断をもたない。また $\mathrm{deg}(D) = 0$ のときにこれが大域切断をもつならば $D$ は主因子である。