$\delta$-関手
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$\delta$-関手(とは、次数づけられた関手の族であり、長完全系列を伴うもののことをいう。これはホモロジー代数において重要な概念であり、導来関手の概念とも密接に関係する。Tohokuとして知られるGrothendieckの論文においては $\partial$-関手と呼ばれている。
定義
アーベル圏 $\mathcal{C}$ から加法圏 $\mathcal{C}'$ への次数 $a \leq i \leq b$ で定義された $\delta$-関手とは、以下のデータ:
- 自然数 $a \leq i \leq b$ についての加法関手 $F^n \colon \mathcal{C} \to \mathcal{C}'$,
- 短完全系列 $0 \to A \to B \to C \to 0$ と自然数 $a \leq i \leq b - 1$ について $\delta \colon T^i(C) \to T^{i + 1}(A)$.
であって、以下の条件をみたすものをいう:
- 射の列 $\ldots \to T^{i - 1}(C) \to T^i(A) \to T^i(B) \to T^i(C) \to T^{i + 1}(A) \to \ldots$ が完全系列となる、
- 短完全系列 $0 \to A \to B \to C \to 0$ から $0 \to A' \to B' \to C' \to 0$ への射が与えられたときに、$\delta \colon T^i(C) \to T^{i + 1}(A)$ と $T^{i + 1}(A \to A")$ との合成は $T^i(C \to C')$ と $\delta \colon T^i(C') \to T^{i + 1}(A')$ との合成と一致する(すなわち、短完全系列について $\delta$ は関手的である)。